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公式お兄ちゃんの終焉:最高のコピーは、なぜ陳腐化してしまったのか?

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こんにちは、臨です。

今回は、コピーについての記事です。

コピーというと少し固いけれど、多くの人を惹きつけたり、短い言葉で世界を伝えられる言葉は、SNS時代の今になっても重要なポイントだと言えます。

そんなコピーの難しさの一つ「コピーとは、なまものである」という側面。

日々変動し続けるものについては、新陳代謝のようにコピーも更新されていく必要がある。

「公式お兄ちゃん」というコピーを知っているでしょうか?

最高のコピー「公式お兄ちゃん」がなぜ広まったのか?そしてなぜ陳腐化してしまったのか?

を通してコピーにとって大事なポイントを考えていきたい。

まず結論から言うと。

①ファンコミュニティの外へ持ち出してしまった。(文脈の違い)

②他グループによる多用(環境の違い)

③メンバーの入れ替わり、年齢の変化。(状況の変化)

目次

「公式お兄ちゃん」のはじまり

元はバナナマンの2人が彼らのラジオ「バナナムーンGOLD」内で発したものが、のちに公式化した。

「これからもっと売れて人気になっていこう」という乃木坂46と、バナナマンのスタートアップ感が込められた素敵なコピーだと思う。当時番組を見ていた自分も、二組の関係性がとても好きだった。

アイドル批評・批判の意図はない。「コピーがなぜ陳腐化したのか?」が主眼だと言うことを改めて伝えておきたい。

関係性だけではなく、年齢的にも、ギリギリお兄ちゃんと呼べなくもなかった。

結成時、年長組は20歳前後くらい、バナナマンは38、9歳(「公式お兄ちゃん」コピーは42、3歳頃)。

実の兄か?と冷静に問われると、若干無理はある。親戚のお兄さんくらいの雰囲気だろうか。実際バナナマンも若かったし。

このように、乃木坂の状況、ファンの盛り上がり方、両者の関係性など絶妙なバランスの上に生まれたのが「公式お兄ちゃん」だった。

では、なぜこのコピーが陳腐化してしまったのか?

① ファンコミュニティの外へ出してしまった

乃木坂人気が爆発し、バラエティ番組でバナナマンとの共演が増えると同時に「公式お兄ちゃん」のコピーも徐々にファンコミュニティ外へ出ていくことになる。

音楽番組から、バラエティ番組から席巻していくことになるが、コミュニティの外へ出るとしっかりと説明が必要な文脈が伝わらないことが多い。カットされたり、短く補足するしかない。腕のある芸人と、人気アイドルはパッケージとしては使いやすいが「公式お兄ちゃん」は、二組の関係を長く見続けていたファンが補完していた部分もある。

そうしたオタクの文脈を、何も知らない普通の場所に持ち出すことは、ファンとしても見ていて恥ずかしい。

自分のオタク趣味を、理解のない友人たちに堂々と晒す行為に等しい。晒すにしても、しっかりとした伝え方がいる。

② 他グループによる多用

構造だけを見て、他のグループでも「公式お兄ちゃん」を多用したことだ。

日向坂46ではオードリーを、最近だとFRUITS ZIPPERではマユリカを「公式お兄ちゃん」としている。

個々についての話はしないが、このコピーはあくまで“乃木坂とバナナマン”のために作ったコピーだ。

そして、バナナマンの側が「乃木坂がAKBの公式ライバルなら、俺たちは公式お兄ちゃんになりたいね」という本人たちに出発点がある。

わかりやすいイメージ戦略として、これまでに成功した“乃木坂とバナナマン”を意識して側だけ真似たからこういうことになる。自分たち用にカスタマイズせずに、うまくいった事例をただ真似ると違和感が出てしまうのはコピーに限った話ではない。

③ メンバーの入れ替わり、年齢の変化

バナナマン本人としては「そろそろ公式お兄ちゃんはきつい」とは言い出せない。

バナナムーンGOLD 2024.04.26で発言していたけれど。

「最初の時、俺ら30いくつなんだ。もう今50歳になっちゃったから、お兄ちゃんじゃないよな」

あの時、生まれた兄と妹という文脈は、1期生との間に生まれたものだ。もちろん2期、3期、4期と番組で共演し、親交はあるものの、コピーを打ち出した当初とは両者の状況もメンバーも変わっている。

後から加入した、乃木坂4期生もお兄ちゃんと呼ぶことに躊躇いがある、と言っている。

結びつきが薄れているわけではないと思うが、広告的な視点が入ったとすればアップデートが必要だと感じるだろう。今の乃木坂とバナナマンにとっては、きっともっといいコピーがあるかもしれない。

そんな問いが必要だった。若いメンバーが次々加入し、歳を重ねたメンバーが辞めていくというロケット鉛筆型のアイドルには一つのコピーだけで通すのは難しい。看板は同じでも、中身がまるっきり入れ替わっているからね。

コピーのむずかしさ。

アイドルの話をメインにしつつ、あくまでコピーの話をしてみた。

コピーって本当に奥が深い。1行のコピーを生み出すのに、数百、数千の言葉を書いては捨てている。

(「公式お兄ちゃん」はバナナマンが作り出したものだけど。)

今目の前にある物事全てに対して、あらゆる角度から書く。視点を変え、あらゆる年齢、性別、時にはもの目線から言葉を考える。

その中で、一番を選ぶ。絶妙なバランスの上でコピーは成り立っているから、言葉をそのまま真似するだけではただ陳腐化していくだけだよね。

そんな20代の前半をコピーに注ぎ込んでしまった自分から、少しだけ書かせてもらいました。

やっぱりコピーって難しいけど、面白いよね。

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